歯が黄ばんでしまう原因をあなたは知っていますか?
この記事では、歯が黄ばんでしまう原因と黄ばんでしまった歯を白くする方法について紹介します。
歯が黄ばむことがないよう予防と歯が黄ばんでしまった場合の参考にしてみてください。
歯が着色してしまう原因とは?
歯はなぜ着色してしまうのでしょうか。
歯が着色する原因には、外側からの原因と内側からの原因の2通りあります。
歯の着色する主な原因を4つ紹介します。
加齢による歯の黄ばみ
年齢を重ねると歯は白色から黄色に変色していきます。
なぜなら、歯の表面を覆っている半透明の白色物質である「エナメル質」が、加齢に伴って磨耗し薄くなるため、内側の象牙質がより透けて見えることにより黄ばんだように見えるからです。
嗜好品の影響
コーヒーやお茶などに含まれる色素が歯の表面に沈着することでも着色を引き起こします。
よく耳にする「ステインによる着色」と呼ばれるものがこれに当たります。
ステイン着色の原因になりやすいものは、コーヒー・お茶のほかに、赤ワインやチョコレート、ココア、タバコなどが良く知られていますが、バナナや大豆製品など、色が濃くないため意外と思われるものにもステインの原因になりやすい物質が含まれています。
口内環境の影響
歯の表面には「ペリクル」と呼ばれる薄い膜があります。
ペリクルは食べ物のカスを虫歯菌が分解するときに発生する「酸」から歯を守るなど歯にとって良い働きがありますが、その反面ペリクルは色素をくっつけてしまうという働きもあります。
また、歯垢も歯に付着することでも着色を引き起こします。
歯垢は淡い黄色をしているため、黄ばみを目立たせますが、歯ブラシで容易に除去することができるので、着色の中でも比較的早く原因除去をすることができます。
虫歯による色の変化
初期の虫歯では、歯の表面が「脱灰(歯の主成分であるカルシウムとリンが歯から溶け出すこと。
進行すると穴が空き虫歯となる)」することによって起きるホワイトスポットという現象がみられます。
ホワイトスポットの現象から虫歯が進行すると、歯は黒色に変色します。
さらに虫歯が進行していくと歯の神経は死んでしまい、神経が死んだ歯は徐々に茶色っぽく変色してしまいます。
乳歯の時に虫歯になってしまった歯を放置すると、永久歯の形成に影響を与えることがあります。
また、虫歯治療の一環で神経を取り除いた歯や、神経がなくなってしまった歯は、歯の中の血流も止まり時間が経つと変色していきます。
神経がなくなると、不要な物質が象牙質の中にある細い管に詰まってしまい、変色の原因となるのです。
黄色や茶色、ひどい場合には灰色や黒色にくすんでしまうこともあります。
抗生物質による色の変化
永久歯が形成される7〜12歳頃までに「テトラサイクリン系の抗生物質」を大量に服用した場合も、歯の変色が起きる場合があります。
テトラサイクリン系の抗生物質は、現在はあまり使用されていません。
しかし、昭和40年代には、感染症の内服薬として、百日咳やマイコプラズマ肺炎の治療薬、風邪薬などに多く使用されていました。
そのため、この年代に幼少期を過ごした方で、若い頃から歯に変色が起きている場合は、抗生物質が原因かもしれません。
特徴として、しま模様に変色がみられます。
テトラサイクリンはカルシウムと結びつきやすく、形成中の歯のカルシウムと結合して、歯の象牙質に定着します。
紫外線に当たると色が変わるという性質があり、テトラサイクリンが沈着した歯は、徐々に黄色や茶色といった色に変わってしまうのです。
特に前歯は、口を開けた時に光が当たりやすいため、濃く変色してしまう傾向があります。
歯の黄ばみを予防する方法
歯が黄ばんでしまうと、それがコンプレックスになってしまうことがあります。
歯の黄ばみや変色を防ぐための方法を紹介します。
日々の生活の中で意識できることばかりなので、白く美しい歯をキープするためにもぜひ参考にしてください。
唾液を増やす工夫をする
歯の黄ばみを予防するためには、唾液を増やすことも有効だと考えられます。
なぜなら、唾液は歯の表面に付着した汚れを洗い流してくれる上に、食事のたびに溶けてしまう歯を修復するはたらき(再石灰化)も持っているからです。
そのため、唾液の分泌量を増やすことが歯の黄ばみ予防につながるといえるのです。
唾液を増やすためには以下の方法がおすすめです。
【唾液の分泌量を簡単に増やす方法】
- よく噛んで食事をする
- 口の中が乾燥しないようにする
どれも簡単に実践できることばかりなので、ぜひ今日から取り入れてみてください。
食後は早めに歯磨きをする
歯の色素沈着やプラークは放置してしまうと、黄ばみや変色が進んでしまう一方です。
食後はもちろん、喫煙や色の濃い薬の服用後は、なるべく早めに歯を磨く習慣をつけましょう。
可能であれば、歯ブラシだけでなく歯間ブラシも使用し、歯の表面だけでなく歯と歯の隙間に挟まった汚れやプラークを丁寧に落とすようにしましょう。
どうしても時間がない場合は、口をゆすいだりキシリトールガムを噛んだりするだけでも行うようにしてください。
また、食事の合間に、少しずつ何か食べたり飲んだりしている方も注意が必要です。
なるべく時間を区切って食べたり、定期的に口を水でゆすいだりして「プラークやステインをそのままにさせない」ということを意識しましょう。
歯ブラシや歯間ブラシで歯を清潔に保つ
歯の黄ばみを予防するためには、日頃からきちんと歯の汚れを取り除くことが重要です。
歯の黄ばみを引き起こすのは色素の強い食べ物による着色汚れだけではありません。
歯に磨き残しがあり「歯垢」という汚れが付いていると、歯は黄ばんで見えてしまいます。
歯ブラシや歯間ブラシを活用して、歯垢をしっかりと取り除くようにしましょう。
タバコを控える
タバコを控えることも歯の黄ばみを防ぐには有効です。
前述した通り、タバコの煙に含まれるヤニには、ニコチンやタールといった色素沈着しやすい成分が含まれています。
それだけでなくタバコは歯茎の血流を滞らせてしまい、歯周病の原因にもなり得ます。
毎日少しずつでもタバコの本数を減らしていくなど、できる範囲で禁煙を始めていけるなら歯のためだけでなく、健康のためにも良いでしょう。
歯の定期健診を受ける
歯科医院やクリニックなどで歯の定期健診を受けることも、美しい歯を維持するには重要です。
歯の変色する原因の一つとして虫歯が挙げられますが、初期の虫歯は痛みもあまりなく、自覚症状で発見するのは難しいので歯科検診で早期発見する必要があります。
また虫歯につながるプラークや歯石がたまっていた場合、取り除いてもらうことも可能です。
磨き残しが多い場合には、ブラッシングの指導もしてくれます。
基本的には約3〜6カ月に1回、歯科健診を受けることが理想です。
「最近、歯の検診を受けていない」と言う方は、一度診察を受けてみましょう。
自分では気付かなかった虫歯や歯周病、または歯の変色を見つけるきっかけになるかもしれません。
黄色くなった歯を白くする方法
既に歯が黄ばんでしまっている場合でも諦める必要はありません。
以下で紹介する4つの方法によって、変色した歯でも白くできます。
クリーニング
歯のクリーニングで歯の黄ばみや変色を解消できる場合があります。
歯科医院やクリニックにて、専用の機器を使ってプラークや歯石などを除去する方法です。
エナメル質に付着したステインもクリーニングで落とすことが可能です。
後述するホワイトニングの前にクリーニングも併せて行えば、医師や歯科衛生士が歯の状態を細かく確認できる他、汚れがない状態でホワイトニングの施術を行えるため、より高い効果を期待できるようになります。
ホワイトニング
歯を白くするには、ホワイトニングも有効です。
専用の薬剤を使って歯のエナメル質に沈着した色素を分解、漂白していきます。
ホワイトニングには、エナメル質の組織を角状から球状に変化させる効果もあります。
歯の表面に当たる光の屈折が変わることで、象牙質の黄色が分かりにくくなり、より白い歯に見えやすくなります。
これは、色素沈着や加齢によって変色してしまった歯にも効果的な施術です。
また基本的には、ホワイトニングでは歯を痛めることはありません。
人によっては、ホワイトニング後に痛みを感じたり、歯が染みたりする場合もありますが、一時的なもので数日で徐々に引いていきます。
ホワイトニングには主に以下の3種類があります。
- オフィスホワイトニング
- ホームホワイトニング
- セルフホワイトニング
オフィスホワイトニング
オフィスホワイトニングは、歯科医院やクリニックで行う施術です。
医療機関でのみ取り扱える高濃度の薬剤と特殊な光を使用するため、一度の施術で大きな効果を実感しやすいのが特長の一つです。
施術は1回、約1時間ほどで完了し、施術後に痛みが生じた場合でも、担当した医師や歯科衛生士にすぐに相談できるのも安心できて良い点です。
ホームホワイトニング
ホームホワイトニングは、歯科医院やクリニックで診察を受けた後、自宅でホワイトニングを行っていきます。
専用のマウスピースに処方された薬剤を注入し、歯に装着します。
すると、1日数時間ほどのホワイトニングで、徐々に歯を白くしていくことができます。
オフィスホワイトニングで使用する薬剤よりも濃度の低いものを使用するため、即効性は劣りますが、毎回通院する手間がないので、自宅でホワイトニングできるのがメリットです。
セルフホワイトニング
市販の薬剤を使ってご自身で歯のホワイトニングを行うのがセルフホワイトニングです。
これにはホワイトニングサロンなどで、自分でライトを照射する方法も含まれます。
オフィスホワイトニングやホームホワイトニングとの大きな違いとしては、薬剤の成分が異なる点です。
歯の着色汚れの除去には一定の効果を期待できますが、医療機関でのみ取り扱える薬剤は使用できず、歯そのものは白くなりません。
そのため、残念ながらオフィスホワイトニングやホームホワイトニングほど大きな効果を見込めない場合が多いです。
また比較的安価にホワイトニングできる点がメリットですが、もし何かトラブルがあった時に相談できる医師がいないため、全て自己責任で行う必要があります。
効果や安全性を考えると、なるべくオフィスホワイトニングかホームホワイトニングで歯を白くしていくのがおすすめといえます。
マニキュア
マニキュアは、元の歯を削ることなく一気に白い歯にできる方法です。
神経のない歯や詰め物の歯、生まれつきの黄ばんだ歯にも効果があります。
専用の白いプラスチック剤を歯の表面に塗るもので、歯そのものの色を白くするわけではないため、効果が持続する期間が非常に短く、数日〜1カ月ほどで元に戻ってしまうことがデメリットです。
しかし1回の施術ですぐに歯を白くできるので、結婚式や成人式など大切なイベントのためだけに歯を白くしたい場合にぜひ活用してみてください。
セラミック
セラミックは、虫歯や神経のない歯、生まれつきの歯の黄ばみに対しても有効で、変色の度合いが進んでいても、真っ白な歯にできます。
しかし、他の施術よりもリスクがあることを把握しておきましょう。
なぜなら、もともとの歯を削り、その部分をセラミックで補うという治療法のため、一度歯を削ってしまうと後戻りができません。
神経のない歯や虫歯をセラミックにする場合は問題ないのですが、歯を白くするためだけに健康な歯を削る場合は、よく考えてから決断するようにしましょう。
セラミックは半永久的なものではなく徐々に劣化していき、一般的には10〜20年ほどで新しく入れ替える必要があります。
また陶器と同じ性質であるため、歯ぎしりや食いしばりなどによっても割れたり欠けたりする可能性もゼロではありません。
歯を白くしたくてもセルフケアでやってはいけないこと
せっかく白い歯のために「良かれと思ってしていたことが実は逆効果になってしまっていた」ということがないように、ここでは、間違ったケア方法となぜそれが間違っているのかについて紹介します。
塩を直接歯につけて歯を磨く
硬い塩の結晶が歯の表面や歯茎を傷つけるため、おすすめできません。
歯の表面が傷つくと、その傷に汚れがたまりやすくなり、かえって汚れが目立つことになります。
研磨剤を含んだ歯磨き剤で歯を磨く
ヤニを落とす歯磨き剤などには、研磨剤が多く含まれている場合があります。
塩同様に、歯の表面を傷つけることになるため、使用には注意が必要です。
また、強い力でゴシゴシ歯を磨くことも、表面が傷ついてしまうので白い歯のためには控えましょう。
重曹で歯を磨く
重曹には、高濃度のホワイトニング剤によって歯の着色成分を分解する歯科医院でのホワイトニングのような効果はありません。
重曹は、クレンザーとしても使用されるほど研磨作用が強いため、歯の表面を傷つけてしまいます。
歯の黄ばみの原因と予防策・対処法まとめ
歯の黄ばみの原因は、食べ物などによる着色汚れ、歯の磨き残し、加齢などさまざまなものが考えられることをお伝えしてきました。
飲食物やたばこなどによる歯の黄ばみを予防するためには、着色汚れの元となるものを口にしたら早めに歯磨きをすることがおすすめです。
また、日頃から歯の汚れを取り除くよう意識すること、唾液がたくさん出るようよく噛んで食事をすることなどが重要だといえます。
「もう歯が黄ばんでしまっていて気になっている」という方は、歯科医院やクリニックに相談して適切な治療を受けることがなによりの解決策です。
日々の予防にはセルフケアをし、黄ばんでしまったときにはプロにお任せするなど、自分自身に合った歯のケアをすることで美しい歯を維持するようにしましょう。
【監修者:しろくま歯科医院 院長 白根 裕司】