「きちんと歯磨きをしていたのに虫歯になってしまった…」お子さんの歯を大切にしようと気をつけていたのに、虫歯に気がついてしまったらショックですね。
この記事では、乳歯が虫歯になりやすい理由や早期発見するために知っておくべきこと、自宅や歯科医院でできる予防法について解説します。乳歯の虫歯は永久歯への影響も懸念されるので、ぜひ正しい知識や予防法を知って適切な対処をしていきましょう。
乳歯の虫歯は進行が早い!
まず、一番に知っておきたい事は、乳児の虫歯は大人の虫歯と比べて進行が早い点が挙げられます。
乳歯は「エナメル質」という歯の一番外側の層が大人の半分程で、次の層「象牙質」に近く虫歯菌が侵入しやすい構造になっているためです。
大人の歯の場合、エナメル質が虫歯になり虫歯の症状が重くなる次の段階へと進むにはある程度の時間を要するケースが多いです。ところが、乳歯の虫歯の場合には1週間程度でも症状が悪化する可能性があるので、見つけたらすぐに歯科医へ相談しましょう。
また、初期の虫歯は痛みを感じないケースが多く、発見が遅れてしまいがちです。歯磨きをサポートしてあげるのはもちろん、見た目に変化がないかも定期的にチェックすることが大切です。
子供の歯(乳歯)が虫歯になりやすい理由
大人の歯に比べて子供の歯(乳歯)が虫歯になりやすい理由について見ていきましょう。
家族や周囲の人からの感染
虫歯の原因である虫歯菌は、生まれたばかりの赤ちゃんの口の中には存在しません。
虫歯菌はどこからやってくるのかというと、家族や周りの人からの感染によるものの影響もあります。ですが出産の胎盤通過時点で母子感染はしていますので、潔癖症のようになる必要はありません。
生涯虫歯にならない人は非常に稀でほとんどいません。特に、生後1歳半から2歳半くらいの子供は虫歯菌に感染しやすい時期で、この頃の子供は親や兄弟、姉妹とのふれあいから虫歯菌が移ることもあります。例えば、お母さんやお父さんが使ったスプーンや箸をそのまま子供に使わせたり、食べ物を口移しであげたり、キスをすることも、虫歯菌が子供に移るきっかけになりえます。
しかし、先程ご説明した通り、母子感染ですでに虫歯菌には感染はしていますので、全くふれあいを無くするというのは、精神発達上よくないので、ふれあいは大切です。
ご家族全員がお口の定期的な管理が大切という訳です。歯石は半年たてば誰でもついています。
歯医者の専用機械でしか取れません。最低でも半年に一度は歯医者に行く必要があります。
きちんと歯磨きができていない
「きちんと歯磨きをしているつもりなのに」虫歯ができてしまったお子さんは、実は正しい歯磨きができていなかったのかもしれません。永久歯と比べて虫歯になりやすい乳歯は特に、正しい知識を持って歯を磨くことが重要です。
磨き方に自信がない場合には、歯医者さんでブラッシング指導を受けてみることをおすすめします。
専門家からお子さんの歯並びに合った歯磨きの方法を学ぶことで、効果的に虫歯を予防できます。
ですが、お子さんが歯磨きを嫌がることも多いでしょう。そんな時は、お子さんに歯磨きの時間を苦痛に感じさせない工夫が大切です。
例えば、お子さんが好きなキャラクターの歯ブラシを使ったり、味付きの歯磨き粉を使ったりすることで、歯磨きに興味を持ちやすくなります。
また、親がお子さんの歯磨きを手伝う「仕上げ磨き」も重要です。特に、奥歯や歯と歯の間など、お子さんが自分で磨きにくい部分を丁寧に磨いてあげましょう。
おやつを長時間食べている
おやつを長時間食べる習慣は、乳歯の虫歯リスクを高めます。
特に甘いお菓子やジュースは虫歯菌の大好物で、甘いお菓子を食べるとお口の中で虫歯菌が活発になり酸を作り出します。虫歯菌の酸が歯を溶かし始めると、虫歯ができやすくなるのです。
もちろん、おやつを食べる時間が長ければ長いほど、虫歯菌と糖分が長時間触れることになるので、さらに菌が繁殖しやすくなります。
そのため、おやつは決まった時間に決まった量だけにすることが大切です。また、おやつの後は歯磨きをする習慣をつけることも重要です。
乳歯の虫歯は永久歯にも悪影響を及ぼす
乳歯の虫歯を放っておくと、永久歯の成長にも悪影響を及ぼします。例えば、乳歯が虫歯で早く抜けてしまうとそのスペースが狭まり、永久歯が正しい位置に生えてこないことがあります。結果、歯並びや噛み合わせが悪くなり大人になってからも長い治療が必要になる可能性があります。
また、乳歯の虫歯が根の先まで進行すると永久歯の変色や形が不揃いになることも懸念されます。さらに、乳歯の虫歯菌が増えると菌が永久歯にも移り、永久歯が生えたての時に虫歯になりやすくなります。
そのため、乳歯の虫歯は「永久歯には関係ない」と思わずに、できれば0歳から虫歯予防に取り組むことが重要です。また、もし虫歯になってしまった場合は早めに治療することが大切です。
乳歯の虫歯は進行度によって治療法が変わる
乳歯の虫歯がどのように進行していくか、どのような治療方法をしていくのかについても紹介します。
1.初期の虫歯
症状
初期の乳歯の虫歯は、白く濁って見える見た目が特徴的です。ただしこの段階では、痛みなどの自覚症状はほとんどありません。
治療方法
初期の虫歯は、歯を削らずに治療することが可能です。主にフッ素を塗って、虫歯の進行を防ぎます。あわせて、食事の習慣や歯磨きの方法を見直すことも必要です。
放置したらどうなるか
初期の虫歯を放置すると、いずれは歯を削る治療が必要になっていきます。進行すると、痛みや腫れなどの症状が出現し、より複雑な治療が必要になることもあるので、早期発見と早期治療が重要です。
2.象牙質のう蝕
症状
象牙質のう蝕は、乳歯が虫歯菌に感染し、エナメル質を超えて内部の象牙質に達した状態です。この段階では、冷たいものや甘いものに敏感になり、痛みを感じることがあります。
治療方法
象牙質のう蝕の治療では、虫歯の部分を除去し、必要に応じて詰め物やクラウンで修復します。この段階では、歯を削る必要があるため、治療の負担も大きくなってきます。
放置したらどうなるか
放置すると、虫歯はさらに深く進行し、最終的には歯髄(神経)に到達する可能性があります。ここまで進むとより痛みが強くなり、治療法も根管治療や抜歯といったより負担の大きいものになるので、早めの治療が重要です。
3.虫歯が神経まで到達する
症状
虫歯が神経に達する段階になると、夜も眠れないほどの痛みを伴うことがあります。
治療方法
神経まで到達した虫歯の治療には、根管治療という方法で治療を行います。根管治療は、感染した神経を取り除き、歯の内部を清掃してから詰め物や被せ物で修復する処置です。この治療は、子供にとってとても大きな負担になる可能性が高いです。
放置したらどうなるか
虫歯が神経まで到達した状態を放置すると、感染がさらに進行して顎の骨に膿の袋ができるなど、深刻な問題を引き起こす可能性があります。また、永久歯への悪影響も考えられるため、早期の治療が非常に重要です。
4.歯の根元に膿の袋ができる
症状
乳歯の根元に膿の袋ができると、触れるだけでも鋭い痛みを感じることがあります。さらに、膿の袋が大きくなると、顔の一部が腫れ上がり、時には発熱や全身の不調を引き起こすことも。
治療方法
この状態では、根管治療が不可欠です。根管治療は感染した部分を除去し、歯の内部を徹底的に清掃し、薬を塗布します。その後、歯を詰め物や被せ物で修復することが一般的です。
放置したらどうなるか
この状態を放置すると、将来的な顎の形状に悪影響を及ぼし、正しい噛み合わせや発音にも影響を与える可能性があります。また、永久歯への悪影響も考えられ、歯並びの乱れや将来的な歯科治療が複雑になってしまうことが考えられます。
自宅で行う虫歯の予防法
ここからは、乳歯の虫歯リスクを避けるために、自宅でできる予防法について紹介していきます。
糖分の取り方や食事の時間に気をつける
乳歯の虫歯を防ぐためには、甘いものの食べ方と食事のタイミング管理が大切です。虫歯の原因となる菌は、お菓子やジュースなどの糖分を好み、歯を攻撃する酸を作り出します。
甘いものをなるべく控えることが大切ですが、甘いものが無いからといって食事の時間を決めずに長時間「ダラダラ食べ」をするのもよくありません。食事やおやつを食べる時間をしっかり管理することで、口内環境が整い、虫歯予防につながります。
フッ素入りの歯磨き粉や洗口剤を使う
フッ素は歯の表面を強化し、虫歯の原因となる酸に対する耐性を高めるので乳歯の虫歯予防に効果的です。歯磨き粉と合わせてフッ素入りの洗口剤を使うことで、歯ブラシが届きにくい部分でもフッ素が行き渡り、より効果的な予防が期待できます。
フッ素洗口剤は、子供でも嫌がらず使用できるようにさまざまな味が用意されているので、お子さんに合ったものがきっと見つかるはずです。
また、歯科医院のフッ素塗布は、歯科医院でしか扱えない程の高濃度フッ素塗布であり、医学的根拠のあるフッ素濃度を数ヶ月おきに塗布できて、歯がフルオロアパタイトという物質に変化して強化されますので、歯科医院でのフッ素塗布は特にオススメです。
自宅での予防だけでなく、歯科医での定期的な検診を忘れずに
乳歯の虫歯予防には自宅での歯磨きや食事管理が重要ですが、どれだけ気をつけていても限界があります。より効果的な予防をするには定期的な検診を行い、専門的な知識や設備を持つ歯科医師によるチェックが必要です。
自宅でのケアでは見逃してしまいがちな初期の虫歯や、目に見えない歯の問題を、歯科医師は専門的な機器や経験をもって発見して適切なアドバイスや治療を行います。また、定期検診では、歯のクリーニングやフッ素塗布など、自宅でのケアではできない予防処置も行われます。
子どもの口腔環境は常に変化するので、家庭での予防だけでは対応しきれない場合が多いです。そのため、自宅での予防と合わせて、定期的な歯科検診を受けることが乳歯の健康を守る上でとても重要です。
乳歯の虫歯治療に大切なのはお子さんの協力!嫌がらず歯科医に連れて行くコツ
嫌がらずに歯科医に連れて行くためには、子供に対して絶対にウソをつかず、「歯医者さんに行こうね」と優しく話しかけることが大切。
歯科治療や予防の大切さを伝えた上で、「虫歯菌をやっつけてもらいに行こうね」と前向きにメッセージを伝えることも効果的です。
また、「悪い事したら歯医者に連れて行くからね」といったような歯科医を叱り文句として使わないように気をつけましょう。子供が本当に治療が必要な時でも、怖がって連れていけなくなってしまいます。
子供が歯科医を怖がらないようにするためには、歯医者に対してポジティブなイメージを持たせてあげることが大切です。
まとめ
子どもの乳歯は大人の永久歯に比べて虫歯になりやすいだけではなく、発見が難しい厄介なものです。
さらに、乳歯の虫歯を放置しておくと将来的に生えてくる永久歯への悪影響が懸念されるので、見つけたら必ず治療を行わなければなりません。
もちろん、虫歯にしない・させないことが第一なので、自宅でできる予防法を欠かさないようにした上で、歯科医での定期的な検診をおすすめします。
なお、当院(しろくま歯科医院)では、お子さまの虫歯予防と治療に力を入れております。0歳からしっかり虫歯予防をすることで、生涯を通じてお子様の健康な歯を守るお手伝いをいたします。
また、当院ではマタニティ歯科にも対応しております。マタニティ歯科とは、妊婦さんとお腹の中の赤ちゃんを対象にした歯科のことです。特に、妊娠中は免疫力が下がるので歯のトラブルが起こりやすいと言われています。たとえば、ホルモンバランスの変化により歯周病になりやすいと言われています。多くの研究から、歯周病にかかった妊婦は早産や低体重児出産の可能性が高まることが明らかになっています。お母様、ご家族がしっかり口の管理をする事が大事です。
しろくま歯科医院ではお子様の歯の治療はもちろん、上記のようなマタニティ歯科も実践し、治療だけでなく予防も含めて総合的にケアいたします。
親子で通院されている患者さまも多くいらっしゃいますので、まずはお気軽にご相談いただければ幸いです。